香典は、もともと弔問客が故人の冥福を祈り、香の対価として供えるもので、葬儀に伴う多額の出費に対する相互扶助的な意味合いがあります。
本来なら忌明けにお礼の挨拶に伺うか、遠方であれば挨拶状を送って感謝の気持ちを伝えるのが本当で、品物でお返しする必要はありません。 しかし、近年では交際が広範囲にわたるということもあり、品物を贈ることで感謝の気持ちを表す香典返しの習慣は、完全に定着しています。
香典返しの金額の目安
香典返しは「半返し」と言われ、頂いた香典の半額程度の品を返すのが一般的。けれど、最近は、4割返しや1/3返しでもいいと言われてています。また、地域によっては「全返し」とされているところもあるようなので、不明な場合は葬儀社に尋ねて地域の慣習に従うようにしましょう。
また、「即日返し」と言い、告別式の後に香典の金額に関わらず、一律の金額の品物をお返しするケースも増えてきました。この場合、特に高額の香典を頂いた場合以外は、全員に同じ品物をお返しすることが多いようです。
香典返しの選び方
香典返し の品は、記念品として贈る結婚披露宴の引き出物などとは違って後々残らない消耗品を選ぶのがいいとされていましたが、現在ではほとんどこだわりません。歳暮や中元などとも異なり、それぞれの家庭の好みを考える必要はなく、どこの家庭でも使う必需品がいいとされています。
そのため、香典返しは、銘茶・砂糖などの食品、タオル・石けんなどの実用品が一般的。香典返し用のセット商品なども用意されているので、詳しくはギフト店などに問い合わせてみましょう。デパートには香典返し専門コーナーを設けているところもあり、配送までしてもらうことができるので利用者が多いようです。「香典返し」と告げれば、弔辞用のかけ紙もかけてくれます。
最近は、香典返しにカタログギフトを選ぶ方も増えているようです。受け取る側がそれぞれの家庭に必要なものを選ぶことができることはもちろん、葬家側にとっても、品物選びに頭を悩ませることもありません。
香典返しの時期
仏式の場合
葬儀の当日にお渡しする「即日返し」か、七七日忌(四十九日)の忌明け後にお返しに忌明けの挨拶状を添えて送るのが一般的。
※ただし、故人がなくなってから七七日忌まで3ヶ月にわたる場合は、五七日(三十五日)に送る。
神式の場合
原則として、香典返しは行わないことになっていますが、最近は、仏式の影響を受け、香典返しをすることが多い。帰幽後、五十日目に当たる忌明け後の霊祭「五十日祭」にお返しに忌明けの挨拶状を添えて送ります。
キリスト教の場合
神式と同様、原則として、香典返しは行わないことになっていますが、最近は、仏式の影響を受け、香典返しをすることが多い。キリスト教の場合、死を穢れたものとする考え方はないため、仏式や神式の喪中などのような特別な期間はありません。
だいたい、葬儀の1ヶ月後の「召天記念日」を目安として香典返しに当たる記念品を送ります。